マンション敷地斜面崩落事故で新局面

今日は、行政評論家の大原みはるとしてエントリーする。

かつて、逗子市の斜面崩落で女子高生が巻き込まれて犠牲になる痛ましい事故が起きたことをご記憶だろうか。当サイトでも、分譲マンションオーナー(管理組合)の責任が問われる怖さを紹介した。そしてその事故に、新局面が訪れたことを毎日新聞が報じている。マンションの管理人が、事故発生の前日に亀裂を発見していて管理会社に伝えたが、管理会社が行政当局への連絡を怠っていたのだという。

毎日新聞の取材に対し県の担当者は、

「亀裂の情報を知らされていれば、現地に調査に行ったり、市道を通行規制するなど市側に何らかの対応を求めたりして、生徒の死を防ぐことができたかもしれない」

と答えたと報じられている。そりゃ、今振り返れば、そう答えるだろうよ。でも、実際、その時点で情報が持ち込まれて、その日に車を出して県は現地を見に行ったか?見た上で、県は市に通報したか?市も車を出してその日に現地を見に行ったか?その上で通行止めまで決断できたか?大雨や台風がくるという状況でなければしばらく様子見、なんて行政の現場では当たり前のように行われているよ。

「たられば」だらけである。翌日に大惨事が起きたことを知っている今だから、連絡をもらえていれば、こういうことができていたかもしれない、と積極的に考える一種のバイアスが働くのだろうが、そんな結果が起こるなどと知らない状況で、実際に通行止めにするには勇気がいるはずだ。通行人がいるということは、文句も受けることになるわけで。

本件、本来であれば責任は管理組合にあると考えられるが、管理人(管理スタッフ)は責任を果たし、管理会社が握りつぶした(or見逃した)となれば、責任の所在は変わってくるとこの記事は言いたいのだろう。しかし、仮に管理会社が県に通報していたとしても事故を100%回避できたとは断言できないところにこの事故の難しさはある。むろん、管理会社の過失度合が急に大きくなってしまった(管理組合がほぼ免責になる可能性も出てきた)のは間違いないけども。

コロナでみんな忘れちゃったのか?武蔵小杉のいま

コロナウイルスが世間を一変させて、たった1年前の令和改元の祝賀ムードや、昨秋の台風禍など、みな全く忘れてしまったかのような生活を送っている。

が、1年前に、あの台風はやってきた。今年も台風ですらない悲惨な水害が各地で起きているが、去年の武蔵小杉のあれは、「下水の逆流した冠水地で、浮き輪だかボートだかを出して水着で遊んでいたバカがいた」「3.11の停電以来のタワマン居住者の地獄」などを含めて異様な水害絵図が、日本中の記憶に残ってしまった。

で、当地の摩天楼の資産価値はその後どうなったのか、ということに迫った記事が、ついに出た。さすがわれらが榊先生である。レインズで、例の停電マンションの、この1年の取引実績を確認したようだ。1年間でたった3件。しかも、台風から10カ月経った8月にやっと初成約なのだとすると、本当に流通が止まっていたと言わざるを得ないのである。(あるいは、業者買取でもあったかどうか)

台風にあったのは不運としか言いようがない。しかも、タワマンが林立するあのエリアで、あのマンションだけが甚大な被害を受けた。なんとも…。

そういうリスクを、持ち家は持っている。

そもそも、都心のタワマン群だって、コロナで都心の職住接近物件の魅力が減じてきたとして、資産価値が維持できるかどうかは、本当に分からない。持ち家のリスク、というものを、本当に考えるべきじゃないか、と思う。